はじめに

物流改善は、企業の利益向上やサービス向上に直結する重要なテーマです。
経営層や物流責任者の皆様にとって、「正しいKPIの活用」は、物流改善を効果的に進めるための有力な手段です。
「物流改善を成功させるKPIを活用した物流改善サイクル」というテーマで、本記事では、KPIの選定方法や活用のポイントを具体的に解説します。
これにより、物流改善が計画的かつ効果的に進むことでしょう。読み進めることで、新しい知識と視点を得て、ビジネスの可能性を広げてください。

KPI活用の目的と重要性について

他の記事で、物流の見える化・数値化の目的について解説させていただきましたが、繰り返しとなりますがこの記事についても同様の結論が言えます。

KPI(重要業績評価指標)は、物流をより良くしていく目的を達成するための手段の一つです。

          目的手段
 *物流現場改善による物流運用安定化
 *物流コスト削減などの収支改善
 *物流サービス向上による顧客満足度アップ
見える化・数値化
物流改善プラン実行
KPIによる評価検証
目的 >>> 手段

しっかりと、目的>手段の位置関係を理解して、うまくKPIを活用した物流改善サイクルの実践を行っていきましょう。
何度も繰り返しになりますが、KPIが目的になってはいけません。また目的に応じたKPIの設定・選択を行っていきましょう。という事は、KPIは普遍的なものでなく、目的に応じて可変していく必要があるという事です。

一方で、KPI(重要業績評価指標)を活用した物流改善サイクルの実践は、とても重要です。
それは、物流の状態が常に可変するからです。そしてその可変(良い事も悪い事)の兆候をより早く察知することができれば、早期な対策・また致命的になる前の未然の対策を打つことができます。

物流改善の難しさの一つが、物流現場だけを見ていると良くなっているのか?悪くなっているのか?が、捉えづらいという点です。ユーザー様やお客様からのクレームや、販売に影響が出てしまっては取り返しがつきません。物流のよる悪化が他部門に影響を与えた時、顕在化した時は、複数面での緊急的な改善策と本質的な重要な改善策が、複数実行しなくてはならない状態になっていると言ってよいでしょう。(いわゆる出血をしいる外科的手術が必要な状態です。)

そんな危機的状況を未然に防ぐ方法の一つが、KPI(重要業績評価指標)を活用した物流改善サイクルの実践となります。

KPIを活用した物流改善サイクルの概要とポイント

それでは、目的と重要性については、前述させていただきましたが、
まずは、「KPIを活用した物流改善サイクルの概要」を説明させていただきます。

         プロセス活用ツールや方法
①過去推移数値と現在数値を集計する
②過去推移と現在とのギャップを集計し、分析する
重要指標をKPIとして設定する
④KPIの目標を設定する
⑤現在と過去・目標とのギャップを集計し、分析する
⑤の分析をもとに、問題・課題を抽出する
問題・課題に対する解決策(アイデア)を考える*「物流改善ロジックツリー」を活用
⑧解決策の優先順位を考え、アクションプランを決定する*「物流改善の時間管理マトリックス」
*「物流改善重要度フレームワーク」
を活用
アクションプラン別のタスクを明確化*「物流改善タスク進捗管理」を活用
アクションプランを実行する
⑪KPIを集計して、評価検証する
⑫KPI項目の見直し調整目標の再設定を行う
KPIを活用した物流改善サイクル

第一ステップ :KPIの設定

①②を行いながら、KPI(重要業績評価指標)を検討します。
その時点では、あまり深く考えず、現在集計できている数値の中で傾向値や対比を行う事で、客観的な指標となりそうな項目を選んでいきましょう。ここまでが準備段階となります。

第二ステップ :チームでのKPI目標設定と課題化

④⑤⑥は、最初の段階でとても重要なポイントです。選んだKPI項目の目標値を設定するのですが、この設定は物流に携わる多くのメンバーと打合せしながら、合意しながら決定してください。そして目標値と現在とのギャップを冷静に受け止めましょう。そしてギャップを問題・課題化してください。ここまでが第二ステップとなります。

第三ステップ :チームでの解決策立案とタスク明確化

⑦⑧⑨で、問題・課題を解決するアイデア(解決策)をチームで出し合いましょう。そして多くの解決策を分類化して優先順位をつけて、取り組む解決策を決定しましょう。解決策を実行するために、タスクの詳細化・役割分担・スケジュールを明確にしましょう。

第四ステップ :各自でアクションプランを実行&KPIで検証

⑩⑪で、決定したアクションプランを各自で実行しましょう。事前に決めた締め切りスケジュールで、チームで打合せを行い、進捗状況を確認しましょう。実行後に、KPIを集計して、ギャップが埋められたかどうかの検証をしましょう。そして良かった点・悪かった点の要因分析を行い、チーム内で共有しましょう。

ここが二つ目のとても重要なポイントです。改善活動やアクションプランは継続的に続けていくことが重要ですので、必ず良かった点を上げましょう。また次につながる改善点を前向きに議論することが必要です。継続的にPDCAを実践する為のコツとしては、チームでの上記打合せを行うファシリテーター(プロジェクトリーダー)が打合せのアジェンダ(目次、進行表)を事前に作成して、チームメンバーに改善の目的と改善活動を継続する意義を改めて周知することが重要です。何故ならこのステップが、持続的改善活動を習慣化していくこと=成果が出るまでやり遂げる=成果がでるというスキームの重要ポイントだからです。

第五ステップ :チームでの解決策立案とタスク明確化

⑫は、続けていく為の二つ目のコツです。第四ステップまで取り組んだチームをよく振り返って下さい。振り返るポイントは、「人」です。誰がどのように改善活動を実践したのか?誰がモチベーション高くやり続ける事ができるのか?を見極めてください。
改善活動やアクションプランには、そもそも難易度があります。一方でチームで一緒に進めていく上で統一したスケジュール感があります。そのため、次に振り返るポイントは「アクションプラン」です。

「人」と「アクションプラン」を検証し、改めてどのKPIの見直しと目標の再設定を行いましょう。そして、何より重要な事は、「改善活動プロジェクトメンバーの再選定」を可能な範囲で行いましょう。
このメンバー再選定は、焦ってはだめです。粘り強くチームメンバーを話し合いを重ねて、改善活動に積極的ではないメンバーこそ、考えが変わり、実行し、習慣化したできた際には大きな成長と成果を勝ち取ることができます。最終的なメンバーの再選定を決断する場合もありますが、慎重かつ育成重視で進めていきましょう。

物流KPI(重要業績評価指標)の候補例

さて、ここでは皆様に役立つ、物流KPIの候補例を挙げながら、解説させていただきます。
せっかくなので、他の記事で解説した「物流改善を体系的に知る」を参考に、下記カテゴリーに沿って、物流KPIの候補例を説明していきましょう。

■現場オペレーション改善関連
■物流コスト改善関連
■人材育成・確保関連
■物流DX関連
■物流組織運営関連
■物流サービスの差別化/戦略化
■未来課題にむけての対応

       項目        物流KPI候補
現場オペレーション改善関連・物流品質KPI(誤出荷率)
・スピードKPI(平均リードタイム)
・リソースKPI(業務別平均人数)
物流コスト改善関連・総コストKPI(売上対比物流費シェア)
・出荷コストKPI(1出荷当り物流コスト金額)
・作業コストKPI(1作業当り物流コスト金額)
・保管コストKPI(1在庫ピース当り物流コスト金額)
・資材コストKPI(1出荷当り資材コスト金額)
人材育成・確保関連・社員育成KPI(人事評価制度)
・スタッフ育成KPI(スキル習得率)
・スタッフ雇用KPI(スタッフ離職率)
・直接雇用KPI(総スタッフ対費派遣スタッフ率)
・スタッフ生産性KPI(1h当り作業個数)
・派遣スタッフ生産性KPI(1h当り作業個数)
・社員業務KPI(担務順守率)
・社員改善活動KPI(改善活動実行率)
・社員業務マニュアルKPI(マニュアル作成率/稼働率)
・スタッフ業務マニュアルKPI(マニュアル作成率/稼働率)
物流DX関連・物流DX浸透率KPI(全作業対比DX活用率)
・設備稼働KPI(例:自動梱包機稼働率)
・DX生産性KPI(生産性向上率)
・DX費用対効果KPI(投資対効果率)
物流組織運営関連・コミュニケーションKPI(ITツール活用率)
・会議打合せKPI(定例会議別開催率)
・業務負担KPI(チーム別残業時間対比)
物流サービスの差別化/戦略化・物流サービスKPI(各カテゴリ別のサービスレベル率)
・業務遅延KPI(出荷、入荷、顧客対応遅延率)
・物流サービス開発KPI(新サービス開発進捗率)
・物流サービス改善KPI(改善進捗率)
物流KPIの候補例

KPIを活用した物流改善サイクル まとめ

ここまで、物販企業様の「KPIを活用した物流改善サイクル」について、説明させていただきましたが、ご興味をいただけましたでしょうか?
もっと詳しく知りたい方、さらに具体的な方法を知りたい方はいらっしゃいますでしょうか?
LogiGaden(ロジガーデン)では、物流改善の具体的な施策について、もっと深堀りして発信してきたいと計画しております。各種準備が整い次第、随時ブログにて発信させていただきます。

私達、LogiGaden(ロジガーデン)では、
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二つの取組みで、物流に携わる皆様のご支援ができるように努めてまいります!ので、
何卒ご愛顧のほど、よろしくお願いします。