はじめに
物流改善の道を歩む企業の皆様へ。
物流の効率化やコスト削減を図る上で、一体どのような手法や指標が必要なのでしょうか?答えは、「見える化」「数値化」「KPI化」の三つの鍵に隠されています。これらの手法を実際に採用することで、物流の現状が明確になり、改善の方向性が見えてきます。この記事では、物流改善の真髄とも言えるこれらの要点を詳しく解説します。物流を次のレベルに引き上げるための知識を手に入れましょう。
物流改善に絶対必要な「見える化」「数値化」「KPI化」とは?
物流においての「見える化」「数値化」は、物流改善をする上での、最も重要な手法の一つです。
そもそも、何故?物流は見える化・数値化が必要なのでしょうか?
それは、物流をより良くする為の指標として活用したいからです。
あくまでも、「見える化・数値化の目的は、持続的物流改善の実現」です。では、具体的に上げていくの
が分かりやすいかと思いますので、下記をまずはご覧ください。
5つの分類で読み解く、 物流の「見える化」「数値化」
” 基盤となる ” 見える化 <物流現状把握>
まずは、物流改善をする上での「基盤となる見える化」となります。毎月集計し、累計や推移を把握すべきものと、四半期または変更があった際に随時のものがあります。
・物流基礎定量情報 の見える化、数値化 | 毎月 |
・物流コスト の見える化、数値化 | 毎月 |
・物流品質 の見える化、数値化 | 毎月 |
・物流サービス の見える化 | 四半期 または随時 |
・物流業務フロー の見える化 | 四半期 または随時 |
・物流業務タイムチャート の見える化 | 四半期 または随時 |
いずれにしても、現状の物流状況を把握する為に必須の情報です。
” 物流改善 ” の見える化 <改善立案&推進>
タスクの抽出と選定、ならびに役割分担・スケジュール、さらには進捗管理などがあります。
・重要物流改善タスク選定の為の時間管理マトリックス の見える化 | 毎月 |
・物流改善タスク一覧 の見える化 | 週次 |
・物流改善タスク進捗 の見える化 | 週次 |
上記が、物流改善を行う上での見える化となります。
” プロジェクト ” の見える化 <最重要タスク推進>
通常のタスクとは違い、ゴール設定が明確化され、会社にとって最重要なタスクとなります。こちらは、物流改善の成果にこだわり、プロジェクト遂行の為に経営資源の選択と集中を行います。こちらも、物流改善をする上での必須の情報です。
・例)物流DXプロジェクト推進タスク の見える化 | 随時 |
・例)物流DXプロジェクト推進タスク進捗 の見える化 | 随時 |
・例)物流委託プロジェクト推進タスク の見える化 | 随時 |
・例)物流委託プロジェクト推進タスク進捗 の見える化 | 随時 |
上記については、プロジェクト単位での見える化となります。
” 物流運営の人的戦力 ” の見える化 <人的リソース>
必要な人材が必要なスキルを兼ね備えているのか?また必要人材数がいるのか?
人材の過不足の把握、人材リソースの再分配などの為に必須の情報です。
・物流人材の社員スキルマップ(物流戦略人材、責任者人材、社員) | 四半期 または随時 |
・物流人材のスタッフスキルマップ(センター別、担当業務別) | 四半期 または随時 |
上記については、物流運営をする上での人的戦力分析の見える化となります。
” 物流運営の物流ビジネスルール “の見える化 <制約事項把握>
納品先や販売先別のルールを順守しなくてはいけない場合も増えてきています。
売上・商流確保維持の為に必須の情報です。
・ECチャネル別 物流ビジネスルール の見える化(物販企業の場合) | 随時 |
・リアル店舗または納品先別 物流ビジネスルール の見える化(物販企業の場合) | 随時 |
・顧客別物流ビジネスルール の見える化(3PL物流会社の場合) | 随時 |
上記については、物流運営する上での物流ビジネスルールの見える化となります。
健全な物流を続けていく為、物流改善を続けていく為には、一般的には上記の見える化・数値化が必要
です。しかしながら、これが全てではありません。物流の問題・課題を一時的に解決する為には、
スポット(期間限定)で見える化・数値化する事もとても重要です。
その他の 見える化、および数値化について
物流運営形態、商材、カテゴリ別 の見える化 <独自特化型見える化>
物流運営形態別に、見るべき物流コストや物流サービスが相違し、それぞれに最適な 見える化・数値化する事が重要です。物販企業様が自社で物流を運用している場合、物流を委託している場合、また3PL物流会社様の場合のそれぞれで必要となってくる見える化・数値化のフォーマットは大きく違ってきます。
それは「ビジネスモデルと目的」が違うからです。
下記は一例ですが、ご参考ください。
さらに、詳しく知りたい方、見える化・数値化を進めていきたい方は、
是非、LogiGaden(ロジガーデン)コンサルティングサービスにご相談、お問合せください。
見える・数値化をもとに物流改善を進めていく方法(評価分析と解決策)
さて、前述で物流の見える化・数値化について、話してきましたが、改めて目的を再確認してみましょう。そもそも、何故?物流は見える化・数値化が必要なのでしょうか?
それは、物流をより良くする為の指標として活用したいからです。
あくまでも、見える化・数値化の目的は、持続的物流改善の実現です。
実は、持続的物流改善は、見える化・数値化だけで実現できません。
持続的物流改善に終わりはありません。見える化・数値化した上で、それを有効的に活用して、改善策の立案&実行をし続けるしかありません。具体的には、下記を行う事が重要です。
①過去推移を計測する ②過去推移とのギャップを集計し、分析する
③目標を設定する ④目標とのギャップを集計し、分析する
⑤ ②③の分析をもとに、問題・課題を抽出する。
⑥問題・課題に対する解決策(アイデア)を考える *物流改善ロジックツリーを活用
⑦解決策の優先順位を考え、アクションプランを決定する *物流改善の時間管理マトリックスを活用
⑧アクションプランを実行する。
上記の物流改善サイクルを運用していけるようになると、必ず成果が出てきます。
一方で、上記サイクルを運用していくことは、とても難しい事です。何より、「粘り強く、成果が出るまでやり続ける」というチームのメンタリティが必須です。物流改善サイクルの継続率を高めるために、物流改善タスク管理が必要です。
物流KPI化とは?物流KPIの活用について
さて、KPIとはどんな意味でしょうか?
KPIの意味は、「重要業績評価指標」(読み方は、ケーピーアイ)です。
*Key Performance Indicator の頭文字をとった略称
重要業績評価指標とは、いわゆる「組織の目標を達成するための重要な業績評価の指標」を意味します。
何故?KPIを設定するのかは、達成状況を定点観測することで、目標達成に 向けた組織のパフォーマ
ンスの動向を把握できるようにするためです。
似た単価としては、KGIがあります。
KGIの意味は、「重要目標達成指標」(読み方は、ケージーアイ)です。
*Key Goal Indicatorの頭文字をとった略称
重要目標達成指標とは、いわゆる「企業の目指す最終的な定量目標(=数値的ゴール)」を意味します。
何故?KGIを設定するのかは、最終的な目標(ゴール)を数値化することで、組織の目的がより明確化して、組織のパフォーマンスが上がるからです。
では、物流におけるKPIとは何でしょうか??
結論としては、各企業によって、設定するKPIは違って良いという事です。しかしながら、KPIは重要指標であるため、数年使い続けるものが良いですし、過去の推移を計測できて、経営や物流改善の指標となる重要なものが最良です。さらに、最も重要な事は、
・前述の見える化・数値化で定点で必ず集計できる(または集計すると決め、集計できる)指標であり
・そして物流改善サイクルを行う上で必要不可欠な指標である事です。
下記は、3つの物流運営形態での一例となります。ご参考ください。
KPI:物販企業で「自社で物流」を行っている場合(例)
コスト | 生産性 | 品質 | スピード | |
全体 | ・売上対物流コスト率 ・1出荷当物流コスト | ・売上対労務比率 ・1出荷当労務コスト | ・出荷当誤配率 ・在庫欠品率 ・出荷遅延日数 ・入荷遅延日数 | ・出荷リードタイム 日数 ・入荷リードタイム 日数 |
項目別 | ・売上対配送料比率 ・売上対倉庫費率 ・売上対資材費率 ・売上対システム費率 ・売上対設備投資費率 ・売上対光熱費率 | ー | ー | ー |
KPI:物販企業で「物流を委託」している場合(例)
コスト | 品質 | スピード | 委託先評価 | |
全体 | ・売上対物流コスト率 ・1出荷当物流コスト | ・出荷当誤配率 ・在庫欠品率 ・出荷遅延日数 ・入荷遅延日数 | ・出荷リード タイム日数 ・入荷リード タイム日数 | ・定期打合せ開催率 ・コミュニケーショ ン品質評価 ・委託先からの改善 提案数 ・委託先からのコスト 削減提案数 |
項目別 | ・売上対配送料比率 ・売上対倉庫費率 ・売上対資材費率 ・売上対システム費率 ・売上対設備投資費率 ・売上対光熱費率 | ・ECモール別 物流レビュー 評価率 | ー | ー |
KPI:3PL物流会社の場合(例)
コスト | 生産性 | 品質 | スピード | 顧客対応 | |
全体 | ・売上対物流コスト率 ・1出荷当物流コスト ・売上対配送料比率 ・売上対倉庫費率 ・売上対資材費率 ・売上対システム費率 ・売上対設備投資費率 ・売上対光熱費率 | ・売上対労務 比率 ・1出荷当労務 コスト | ・出荷当誤配率 ・在庫欠品率 ・出荷遅延日数 ・入荷遅延日数 | ー | ー |
センター別 | ・売上対配送料比率 ・売上対倉庫費率 ・売上対資材費率 ・売上対システム費率 ・売上対設備投資費率 ・売上対光熱費率 | ・売上対労務 比率 ・1出荷当労務 コスト | ・出荷当誤配率 ・在庫欠品率 ・出荷遅延日数 ・入荷遅延日数 | ー | ・顧客ランク別 打合せ率 ・顧客ランク別 重要対応 内容検証 |
顧客別 | ・売上対配送料比率 ・売上対倉庫費率 ・売上対資材費率 ・売上対システム費率 | ・売上対労務 比率 ・1出荷当労務 コスト | ・出荷当誤配率 ・在庫欠品率 ・出荷遅延日数 ・入荷遅延日数 | ・出荷リード タイム日数 ・入荷リード タイム日数 | ・打合せ率 ・重要対応 内容検証 |
「見える化」「数値化」「KPI化」のまとめ
物流改善の道は終わりがありません。
その中心には常に「見える化」「数値化」「KPI化」が存在します。
これらの要点を理解し、適切に活用することで、物流の最適化と持続的な改善が実現されます。この記事を通じて、物流の新しい時代を迎えるための具体的なステップを学んでいただけたら幸いです。物流の未来は明るく、一緒にその未来を築くための具体的なステップを踏み出しましょう。
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