はじめに

この記事では、「物販企業様で自社で物流運用している皆様」「物販企業様で物流を委託している皆様」に役立つ「物流コスト削減施策」を厳選して、63つ紹介していきます。
尚、この記事は、物流運営形態が ”物販企業様が自社で物流運営””物流を委託している企業”の場合となります。

「3PL物流会社」の方は、こちらをどうぞ。
・3PL物流会社様の「3PL 物流コスト削減施策」について→

物流コスト削減施策について

物販企業様で、自社で物流運用している皆様にとって、物流コスト削減施策は重要な課題の一つかと思います。既に何年・十何年と日々コスト削減意識を持ち、削減施策を実行している皆様が多いかと思います。

そんな中で、「日々の物流オペレーションの運営と、物流コスト削減の共存は難しい!」と感じている方も多いかと思います。さらに、削減施策を行ったが成果がでない、もしくは成果の効果が続かないと感じている方も多いかと思います。

よくある原因の一つは、下記のコスト削減施策実行における基本原則を理解していないことがあります。
・「コスト削減ポイントが移り変わっていることに気づいていない」
・「コスト削減施策を体系化していない。施策の効果検証を行っていない」
・「コスト削減施策を計画的に実行していない」

もちろん、物流に関連する施策で、成果を出すためには、現状分析を行い、近い未来を予測して、計画的に実施することが重要です。

*物流コスト削減: 配送料関連 10施策
*物流コスト削減: 作業費関連 22施策
*物流コスト削減: 保管料関連 12施策
*物流コスト削減: 物流DX関連 11施策
*物流コスト削減: 資材・その他関連 7施策
*物流コスト削減: 物流委託の検討&実施 1施策

この記事では、「コスト削減施策を体系化していない」方にむけて、63のコスト削減施策を分類化させて頂き、体系化のお手伝いも是非お手伝いさせて下さい。あくまでも、この63の施策については、過去の物流改善事例をもとに、汎用性の高い(多くの皆様に該当する)施策を一覧化したものです。逆に言うと全ての皆様に最適な施策ではありません。皆様のご参考になればと思い、一覧化しましたので、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

物流コスト削減: 配送料関連 10施策

まず初めは、配送料関連についてです。
配送料関連については、物流戦略人材様と物流現場責任者様が積極的に進めていく必要があります。物流コスト総額に占める割合が最も高い配送料での、コスト削減はとても効果が高いです。

まずは、配送料について、宅配会社・路線会社・チャーター運送会社(自社便除く)の陸運会社様との交渉の重要度が高いです。ですので、交渉ができる環境や関係の構築が、非常に重要となります。原理原則としては、複数の配送チャネルとの契約を行い、配送のマルチ化をすることです。それにより、交渉ができる環境や、配送先や配送サイズ、そして荷渡し時間や品質などの諸条件にて、最適な配送チャネルを自動で選択できるスキームを構築することも必要です。

さらに、確実に、また日々の業務で改善できることは、最適な配送サイズ(=最小の宅配サイズ)での梱包を、業務に携わる多くの社員・スタッフに浸透させ、実行してもらうことです。過去の実績では、10~15%の荷物がオーバーサイズの梱包として出荷されている統計もあります。
しかしながら、スタッフ個人の意識向上だけでは、コスト削減は実現できません。梱包資材パターンの最小化や選択の簡素化、梱包作業台の最適化も必要です。また自動梱包機の導入によって、機械やセンシング等の物流DXや物流テックで解決する方法もあります。

             項目改善効果難易度
配送会社との交渉術改善
配送種別のマルチ化改善
低サイズ配送サービスの徹底活用改善
(ゆうパケ、ネコポス、コンパクト等)
配送サイズ・地域・中継料別配送種別マルチ最適化
適正な宅配サイズの資材改善
適正な宅配サイズでの梱包作業改善
ユーザ徴収配送料の最適化改善
返品配送料の交渉
ユーザ返品ルールの最適化改善
プラットフォーム物流の有効活用改善
物流コスト削減:配送料関連の一覧

物流コスト削減: 作業費関連 22施策

作業費関連も、非常に重要なコスト削減カテゴリーとなります。
なぜ?重要なのかと言いますと、それはこのカテゴリーのみが、現場社員や現場スタッフが自らコスト削減意識をもって、恒常的に行える「統制可能物流経費」であるからです。

皆さん一度、ここで分類した、全カテゴリーを再確認してください。
作業費関連については、他カテゴリーとは異質であり、日々の物流オペレーションでのコスト削減施策の積み重ねが必要です。またリーダー、スタッフの一部だけという事ではなく、物流現場人材の全てがコスト削減施策ならびにそれに沿った業務、業務フロー、働く意識を遂行する必要があります。

一般的には、作業費関連は、「物流現場力」と言われ、物流業務の源泉(コアな部分)となります。

作業費関連カテゴリーがコスト削減施策の難易度が高い理由は、日々移り変わる(1日の中でも時間帯によって)物流の状態に合わせて、物流現場のリソースの再分配や最適化をチーム全体で行っていく必要があり、さらには当日の必ずやらなければならない物流作業(納品締め切り順守)の中で削減施策を行う必要があるという事です。

今回一覧化した施策のほとんどが、物流現場運用の為のより良い「習慣化」を身に着ける事が中心となっています。このカテゴリーについては、一回の施策を実行したり、細部の業務フローを変更したりすることで全体が大きく改善されていくという事はありません。また数日行っても、また元に戻ってしまう。数週間行っても、また元に戻っていまうというようなジレンマもあります。

粘り強く行う必要がある、本質的なコスト削減施策を中心に、一覧化させていただきました。

すこしがっかりされている方もいるかもしれませんが、本気で物流コスト削減施策を過去何度も行ってきて習慣化する事が出来ず、悔しい思いをされている方には深く響いているかと思います。

               項目改善効果難易度
<当日入荷業務/出荷業務別>
 作業時間実績 集計方法の確立(紙&ボード、アプリ等々)
<当日入荷業務/出荷業務別>
 作業個数or件数 集計方法の確立(WMS、受注ソフトから抽出)
<日別入荷業務、出荷業務別>
 生産性集計方法の確立(時間当たり作業件数)
<日別入荷業務、出荷業務別>
 生産性の評価方法の確立(標準と目標の設定:時間当たり作業件数)
<日別入荷業務、出荷業務別>
 生産性集計の運用開始
<日別入荷業務、出荷業務別>
 生産性の目標と実績ギャップの集計と周知方法の確立
<日別入荷業務、出荷業務別>
 生産性の目標と実績ギャップの現状分析(傾向・特徴)
<入荷業務、出荷業務別>
 生産性向上のアクションプラン策定(役割とスケジュール明確化)
<入荷業務、出荷業務別 アクションプラン案①>
 時間別のスタッフ配置の最適化
<入荷業務、出荷業務別 アクションプラン案②>
 今の業務終了後の次回アクション明確化(報告or次の業務)
<入荷業務、出荷業務別 アクションプラン案③>
 各業務指示の際に、概算終了時間の告知と叱咤激励
<入荷業務、出荷業務別 アクションプラン案④>
 スタッフ分業化と多能工化の育成
<入荷業務、出荷業務別 アクションプラン案⑤>
 当日必須業務終了後の翌日以降準備業務の確立
<入荷業務、出荷業務別 アクションプラン案⑥>
 ボトルネック業務の洗出し
<入荷業務、出荷業務別 アクションプラン案⑦>
 翌日の作業数予測を立ててみる
<入荷業務、出荷業務別 アクションプラン案⑧>
 朝礼と昼礼の運用
<入荷業務、出荷業務別 アクションプラン案⑨>
 個別作業実績集計と周知(テキパキやる文化醸成)
<入荷業務、出荷業務別 アクションプラン案⑩>
 ボトルネック業務のマニュアル化
<入荷業務、出荷業務別 アクションプラン案⑪>
 ボトルネック業務のトレーニング
<入荷業務、出荷業務別>
  曜日別スタッフ配置適正数の明確化
<入荷業務、出荷業務別>
  曜日別スタッフ配置適正数に応じた出勤シフトの作成
<入荷業務、出荷業務別 >
 曜日別スタッフ配置適正数に応じた時短スタッフの採用
物流コスト削減:作業費関連の一覧

今回は、22の施策を、習慣化の視点で上げましたが、その他のもっと具体的な、そしてクリティカルな作業費関連の施策も多くあります。

物流コスト削減: 保管料関連 12施策

保管料関連については、物流戦略人材様と物流現場責任者様が積極的に進めていく必要があります。賃貸物件の場合は、家主様へのロジカルな交渉が必須であります。また、最適なロケーションや効率的な在庫保管を実現する為には、物流ラックや棚や業務工程の見直しなど、多くの意思決定が必要となります。

ここでもっとも必要な事は、「可変できる設備環境づくり」「可変する意識の醸成」となります。それは、物流現場社員やスタッフの最も大きなストレスは、業務フローやロケーションの変更です。ストレスが少なく、合意形成をとるためには、リーダーによる計画性と理解周知の徹底となります。物流現場で蔓延する ”現状容認バイアス” との闘いを行うことが重要です。

           項目改善効果難易度
<賃貸倉庫の場合>
 貸主との粘り強くロジカルな保管料交渉
<賃貸倉庫の場合>
 貸主との粘り強くロジカルな保管料以外経費交渉
<在庫スペース最適化による保管料削減策①>
 坪当たり在庫数の集計方法確立(月2回から)
<在庫スペース最適化による保管料削減策②>
 保管スペース圧縮(物流ラック活用)
<在庫スペース最適化による保管料削減策③>
 保管スペース圧縮(最小保管棚内の充填率アップ)
<在庫スペース最適化による保管料削減策④>
 保管スペース圧縮(棚の段数アップ)
<在庫スペース最適化による保管料削減策⑤>
 作業スペース圧縮(検品作業工程の見直し)
<在庫スペース最適化による保管料削減策⑥>
 作業スペース圧縮(梱包作業工程の見直し)
<在庫スペース最適化による保管料削減策⑦>
 通路・導線圧縮
光熱費対策① 照明のLED化
光熱費対策② 空調オンオフルールの設定と運用(温度)
光熱費対策③ 断熱建材やシャッター開閉ルールの設定と運用
物流コスト削減:保管料関連の一覧

物流コスト削減: 物流DX関連 11施策

物流DX関連については、物流戦略人材様と物流現場責任者様が積極的に進めていく必要があります。
物流DXでの物流コスト削減で重要な事は、現状の物流課題の抽出と、物流データと物流条件の洗い出しからとなります。
下記の一覧の中で、既に導入されている項目もあるかと思います。特にWMSについては、導入されている企業様も多いかと思いますが、WMSの機能を活用しきれている企業様はとても少ないです。さらに、WMSをハブとして、多くの物流DX機器やサービスを連携している企業様も少ないのが現状です。
また、物流DX市場には、多くの製品・設備・サービスが溢れていますが、自社の物流に最適なものを選択することもとても難しく、導入試算シュミレーション段階で止まっている事も多いかと思います。

しかしながら、最適な物流DXを導入できた際の、コスト削減効果は絶大です。明るい未来を勝ち取るためにも、物流DXを進めて、物流DXエンジニアを育てていきましょう。

             項目改善効果難易度
倉庫運営システム(WMS)の導入
生産性管理システム(LMS)の導入
情報共有(SPS等々)の導入
事務・データ・伝発業務(RPA)の導入
庫内入荷作業の機械化・ロボット化(入荷システム)の導入
庫内搬送作業の機械化・ロボット化(搬送ロボット)の導入
庫内ピッキング作業の機械化・ロボット化(各種)の導入
庫内梱包作業の機械化・ロボット化(各種)の導入
庫内商品保管効率向上の物流機器・物流ラック等々
資材作成等の機械化・ロボット化の導入
撮影や採寸の機械化・ロボット化の導入
物流コスト削減:物流DX関連の一覧

さて、LogiGaden(ロジガーデン)コンサルティングサービスでは、「物流DX導入に特化したコンサルティングメニュー」があります。お困りの方、相談したい方、物流DXを検討している方は、是非お問合せください。

物流コスト削減: 資材/その他関連 7施策

資材・その他関連は、物流戦略人材様と物流現場責任者様が積極的に進めていく必要があります。下記には、物流特有の資材や設備、サービスなどのコスト削減交渉を一覧化しています。

特に有効的なアドバイスとしては、交渉を定期的に行う事です(もしくは契約満了の数か月前)。ダンボール・緩衝材・プリンターなどについては、多くの物流コストが発生します。また、出荷数の増減により、好条件が望めることもあります。逆に原材料高騰のリスクもあるため、一定水準の量がある場合は、複数ベンダーとの契約も有効です。

いずれにしても、この資材・その他関連については、つい後回しになってしまいがちです。戦略的に、そして定期的に交渉を進めていくことをお勧めいます。ちなみに、お勧めの交渉の頻度は、6か月に1回です。その際はコンペ形式にしましょう。

            項目改善効果難易度
現状の段ボール会社との交渉(他社相見積)
新規の段ボール会社との交渉(他社相見積)
<各種資材との交渉・リプレース①>
 プリンター&カウンター&紙代
<各種資材との交渉・リプレース②>
 緩衝材関連
<各種設備との交渉・リプレース③>
 フォークリフトレンタル代交渉
<各種設備との交渉・リプレース④>
 倉庫セキュリティ代交渉
<各種サービスとの交渉・リプレース⑤>
 物流関連保険代交渉
物流コスト削減:資材・その他関連の一覧

物流コスト削減: 物流委託の検討&実施 1施策

物流コスト削減施策として、物流委託の検討を行うことは、意外かもしれません。特に物流委託を考えていない、現実的ではないと考えている物販会社様も多いかと思います。そんな皆様にも、是非おすすめしたい施策となります。
その場合は、物流戦略人材様と物流現場責任者様が積極的に進めていく必要があります。

ポイントは、「物流委託はしないが、物流委託を検討する」ということです。

そのメリットは、大きく3つあります。
・「現状の物流課題を整理できる」 *物流委託検討のオリエン資料作成(要件定義)により
・「現状の物流コストを評価できる」*物流会社からの見積りを評価検証することにより
・「物流課題の解決策を知れる」  *物流会社からのソリューション提案より

3つの全てを、複数の物流会社様とのやり取りの中で、客観的に、そして資料として可視化されることにより、さらに今後の物流戦略・物流改善・物流コスト削減の具体的な参考となります。
そして、補足的効果ですが、もし自社物流が持続できない状況が発生した場合の、有効的なリスクヘッジの一つとなります。

しかしながら、そんな時間も担当者も、そして経験もないという事でお困りの方、是非一度検討したい方、相談したい方がいましたら、是非お問合せください。
 
LogiGaden(ロジガーデン)コンサルティングサービスでは、
「はじめての物流委託検討に特化したコンサルメニュー」があります。是非お問合せください。


物販企業様の物流コスト削減 まとめ

ここまで、物販企業様の「超実践的な物流コスト削減」厳選63施策!について、説明させていただきましたが、長文になってしまうので、とても簡潔に一覧化させていただきました。ご興味をいただけましたでしょうか?もっと詳しく知りたい方、さらに具体的な方法を知りたい方はいらっしゃいますでしょうか?
LogiGaden(ロジガーデン)では、今後も、物流コスト削減のさらなる具体的な施策について、もっと深堀りして発信してきたいと計画しております。各種準備が整い次第、随時ブログにて発信させていただく予定です。何卒よろしくお願いします。

私達、LogiGaden(ロジガーデン)では、
物流ノウハウや情報を発信する「物流ブログ」と、
良心価格で長く続けられる「物流コンサルティングサービス」を提供しています。
二つの取組みで、物流に携わる皆様のご支援ができるように努めてまいります!ので、
何卒ご愛顧のほど、よろしくお願いします。