物流の挑戦はビジネスの大きなチャンスとなります。経営層や物流責任者の皆様、物流の課題を最大の強みに変えるための戦略と実践的な方法を探求しませんか?
本記事では、物流委託の際の最適なアプローチと、成功への具体的なステップを詳しく解説します。一緒に物流の未来を切り開いていきましょう。
はじめに
物流委託(物流アウトソーシング)を検討されている企業様、委託先を変更したいと計画している企業様にとって、「物流の戦略化・差別化」に取り組んでいくことは、とても重要なことかと思います。
物流委託(物流アウトソーシング)を行った際には、物流現場オペレーション運営は、委託検討先の物流会社様が行ってくれます。原則としては、物流現場オペレーションの改善についても、物流会社様が提案をし続けてくれることになります。しかしながら、物流のプロである委託検討先の物流会社様も、クライアント様(物販企業)のビジネスモデルや経営計画、事業計画について、完全に理解している訳ではありませんので、物流改善についても一般的な手法の提案となってしまいます。
その為、物販企業側としても、物流サービスを、より戦略的に、競合他社と差別化して、競争優位を取るための物流戦略思考を高めていく必要があります。また物流のプロである物流会社からの良い物流提案を引き出すための、情報を継続的に提供していくことも重要となります。
総じて、物流委託(物流アウトソーシング)を行うと決断した時から、物販企業側では、物流戦略思考を磨き、自社の物流を戦略化・差別化するプロセスを進めていくことが必要となります。
また、「物流戦略思考を高めていく」「物流の戦略化・差別化を進める」ための契機として、物流委託(物流アウトソーシング)するタイミングを有効的に活用することを、強くおすすめします。その理由は、委託検討先の物流会社様の協力を最大限得ることができるからです。
この記事では、物流委託(物流アウトソーシング)する際に、「物流の戦略化・差別化」を進める方法を解説させていただきます。
「物流の戦略化・差別化」とは?
まず、物流の差別化・戦略化とはどういうことか?物流の差別化・戦略化には、現在の物流状況に合わせて、大きく3つのカテゴリに分類することができます。3つのカテゴリ毎にすこし解説していきます。
①今すぐやるべき緊急的な物流サービス改善:緊急問題
②今すぐやるべき重要な物流サービス改善:重要課題
③未来の為に行うべき戦略的な改善:未来課題
①の今すぐやるべき緊急的な物流サービス改善の代表的な例は、
「エンドユーザー様に迷惑をかけている物流サービス(=品質劣化)」です。
②の今すぐやるべき重要な物流サービス改善の代表的な例は、
「現在、競合会社との競争点が明確化している物流サービス:現在競争点」
「近い将来に競合会社との競争点が明確化している物流サービス:近い未来の競争点」
そして、③の未来に為に行うべき戦略的な改善の代表例は、
「未来の社会変化に対応するための、構造的な物流改革」です。
3つのカテゴリ別の具体的な課題の例
①今すぐやるべき緊急的な物流サービス改善:緊急問題
緊急的な物流サービス=エンドユーザー様に迷惑をかけている物流サービス(=品質劣化)が中心となりますが、下記が良くある、分かりやすい例となります。この課題は、社内の各部門から改善要望の声が上がっている場合がほとんどですが、組織的に諦めてしまっていることや、目をつぶってしまっている状態の場合もあります。冷静に、勇気をもって、課題の整理から初めてみましょう。
・配送の遅延、入荷の遅延
出荷・納期の遅れは、物流の最も一般的な問題であり、物流全体フローの健全さを計るうえでも重要な要素です。この問題は、倉庫内作業の煩雑化、予測される作業量への対応力低下、予測されるトラフィック渋滞への対応不足、各種供給チェーンの中断、労働力の不足など、さまざまな要因に起因することがあります。遅延は、エンドユーザー様や顧客の期待を裏切ることとなり、長期的なビジネス関係に悪影響を及ぼす可能性が高まります。
・荷物の紛失・破損
物流プロセス中に荷物が紛失または破損することは、倉庫内での商品の取扱いの悪さ、商品保管状態の悪化、不適切な梱包、または各種運送中の事故の結果として起こる可能性があります。こちらも、エンドユーザー様や顧客の期待を裏切ることとなり、長期的なビジネス関係に悪影響を及ぼすとともに、返品や返金、再配送のコスト増加をもたらします。
・誤出荷・誤配送
エンドユーザー様・顧客の注文とは異なる商品が配送されることは、商品在庫管理の不具合や、倉庫内作業のミス(入荷検品、バーコード添付、ピッキングのミス、商品検品漏れ、数量検品間違い、配送伝票の添付間違い、またはデータ入力のエラー等々)の様々な要因で発生します。こちらも、エンドユーザー様や顧客の期待を裏切ることとなり、長期的なビジネス関係に悪影響を及ぼすとともに、再配送のコスト増を引き起こしてしまいます。
・コミュニケーションの不足
エンドユーザー様と物販企業側の物流担当者・顧客対応チーム間のコミュニケーションや、物流業者とクライアント様(物販企業様)間のコミュニケーションが不十分であると、大きな誤解や不信感へ発展し、大きなクレームが生じる可能性があります。特に問題やトラブルが発生した際の迅速で適切な対応は、信頼関係の維持に重要となります。
・在庫管理上の問題
リアルタイムな在庫管理は、必須の物流サービスとなります。昨今のEC販売では、リアルタイムに倉庫管理システム(WMS)とECサイトの在庫情報が連動しています。リアルタイムな商品の出荷、入荷情報は販売機会の増加と、ロスの低下の両面での効果があり、結果として健全な在庫回転率を勝ち取る事ができます。適切な在庫量の維持が困難である場合、過剰在庫による経営資源の非効率化が進み、経営状況を悪化させる要因となります。
②今すぐやるべき重要な物流サービス改善:重要課題
前述しましたが、今すぐやるべき重要な物流サービス改善は、特に競合他社との競争点を意識した改善となります。この考え方の根本にあるのが、「物流サービスで競合他社と差別化する。物流サービスで事業成長を加速する」という強い意志となります。
「現在、競合会社との競争点が明確化している物流サービス:現在競争点」
「近い将来に競合会社との競争点が明確化している物流サービス:近い未来の競争点」
さて、具体的に、競合他社と各物流サービスの対比を行い、ギャップを見つけ、対応策を立案し、実行してくこととなります。各物流サービスの項目は下記になりますが、詳しくは下記の記事にて解説していますので、是非読んでください。
①「一般的な物流サービス」
・基礎物流サービスレベル 可視化&評価/競合比較
・基礎物流CRM(付加価値) 可視化&評価/競合比較
・基礎物流品質 可視化&評価
②「特定のニーズに対応した物流サービス」
・業種別商品形態別 物流サービス 可視化&評価/競合比較
・ビジネスモデル別 物流サービス 可視化&評価/競合比較
③「ユーザ不満足に直結する物流サービス」
・繁忙閑散ギャップ型の物流の場合 可視化&評価/競合比較
・急激に成長している物流の場合 可視化&評価/競合比較
・売上が微減している物流の場合 可視化&評価/競合比較
③未来に行うべき戦略的開発物流サービス:未来課題
「未来の社会変化に対応するための、構造的な物流改革」という、とても難易度が高い課題に思えるかもしれませんが、特に身構える必要はありません。未来課題を解決することに必要なマインドは、大きな課題こそ、小さなタスクに分けて、粘り強く、一つ一つ出来ることを地道にやっていくメンタリティと行動様式です。その歩みの先に、大きな未来課題が結果として解決されていたということになります。
さて、よくある例を下記にピックアップしましたが、各物販企業特有の未来課題が必ずありますので、そちらも一緒に一覧化しておくことをおすすめします。
今現在、物流業界で必ず訪れる危機は、「2027年以降の劇的な労働力不足」となります。
労働力不足は、複数の大きな問題を引き起こし、否応なく物流業界の全企業、そして物販企業の物流部門に大きな影響をおよぼします。
労働力不足を解決する為には、各種物流業務の「機械化・システム化・ロボット化・自動化」による「省人化」を強力に進めていく必要があります。下記に代表的な未来課題の解消について、一覧化しましたが、一番の危機は、業界全体として「戦略的物流人材」「物流課題ソリューション人材」「物流テックエンジニア人材」の致命的な不足と、その育成となります。
・先進的な物流テックやAIやロボット技術の導入
先進技術の導入により、物流業界も変革の時を迎えています。ブロックチェーンを使用した透明な取引の記録、VRやARを活用したトレーニングやシミュレーションなど、新技術の活用は物流の効率とサービス品質を向上させる鍵となりまAI技術は、需要予測や最適ルートの計算など、多岐にわたる業務での効率化を実現します。一方、ロボット技術は、倉庫内のピッキング作業の自動化や荷物の運搬を助けることができます。都市部の渋滞回避や山間部への迅速な配送など、ドローンは新しい配送の可能性を拓きます。ドローン技術の進化に伴い、多様なニーズに対応する配送ソリューションを提供できるようになります。
・販売情報と物流情報のビッグデータ化とデータ活用し、物流を最適化
日々の物流情報、在庫情報、販売情報などの膨大なデータをビッグデータとして集計することが必要です。そのビッグデータをAI技術などで分析し、効率的な倉庫内作業、物流ルートや、売れる商品の分析や、適切な在庫量などを予測し、物流と販売の連携強化を目的としたの物流の最適化を実現する必要があります
・物流情報の非透明性の解消
物流の進行状況や商品在庫情報など、リアルタイムや日々の情報が不十分または不正確であると、エンドユーザー様・顧客からの問い合わせ等に間違いが生じ、結果としてエンドユーザー様・顧客からの不安や不満が増加してしまいます。現在の物流テクノロジーでは、業務進捗状況、伝票単位での作業進捗情報、商品単位での情報をリアルタイムで把握することが前提となり、エンドユーザー様・顧客へ物流サービスが提供できることが基本的なサービスとなっています。
・安全基準、法令順守の無視、非対応の問題解消
安全基準を無視すると、倉庫内作業時の社員・スタッフ・派遣社員の皆様の怪我など、重大なリスクが生じます。また自然災害や火事などの緊急的な事由に対する対応もできず、場合によっては企業存続が出来ない状況に陥ってしまう事もあります。各種安全基準や法令順守については、物販企業様は、委託検討先の物流会社様が具体的にどう対応しているのか?を知る必要があり、また管理する必要があります。
・グリーン物流の取組みと、社会的な働く環境改善
持続可能な物流やエコフレンドリーな取り組みを無視することは、公共の目において企業のイメージを損ないます。また自然環境への対策だけでなく、倉庫で働く人材の環境改善は、労働力確保の為に重要度が増している項目となります。こちらについても、物販企業様は、委託検討先の物流会社様が具体的にどう対応しているのか?を知る必要があり、また管理する必要があります。
本題の物流委託(物流アウトソーシング)する際に、
「物流の戦略化・差別化」を進める方法とは?
前述で、「物流の差別化・戦略化」を3つのカテゴリに分けて説明してきましたが、概要は伝わりましたでしょうか?
そして、ここからが、本記事での本題となります。
「物流委託(物流アウトソーシング)する際に、物流の戦略化・差別化を進める方法とは?」です。
下記の流れを、具体的に、確実に進めていくことが、物流委託(物流アウトソーシング)する際に「物流の戦略化・差別化」を進める方法の第一歩となります。
特に、①②を整理して、オリエン資料を作成することで、物流課題解決に対する社内の合意形成を得ることができます。あくまでも、物流委託を検討することは、一つのきっかけであり、長く続く物流改善の道のスタートでしかありません。
今後、真のパートナーとなる委託先の物流会社に、物販企業様(クライアント様)の熱量が届くように、現在の課題をぶつけてみてはいかがでしょうか?
- 今すぐやるべき緊急的な物流サービス改善(緊急問題)の整理と資料作成
- 今すぐやるべき重要な物流サービス改善(重要課題)の整理と資料作成
- オリエン資料の中で、委託時に改善必須の課題と、1年以内での改善希望の課題を分類する
- 複数の委託検討先の物流会社様へオリエンを行う
- 複数の委託検討先の物流会社様からの改善提案および見積りのプレゼンを受ける
- 複数のプレゼンを検証し、再度委託時の改善必須の課題と、1年以内での改善希望の課題を再分類する
- 3社程に絞込んだ検討先の物流会社様に、再分類した課題に対する改善提案を依頼する
- 3社程に絞込んだ検討先の物流会社様からの再度改善提案および見積りのプレゼンを受ける
- 3社程に絞込んだ検討先の物流会社様から、改善プロセスとスケジュールのプレゼンを受ける
- 委託先を決定し、委託先の物流会社に改善チームを発足してもらい、具体的な改善アクションをスタート
「物流の戦略化・差別化」を進める方法 まとめ
物流改善の挑戦は、ビジネスの成長の可能性を秘めています。
物流の戦略化と差別化を進め、物流委託(物流アウトソーシング)の成功へと繋げることが、経営の強固な土台となります。物流の進化は、ビジネスの成長とともに止まることはありません。
新たな時代を迎える準備は、すでに始まっています。一緒に次のステップへと踏み出しましょう。
私達、LogiGaden(ロジガーデン)では、
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