はじめに
この記事では、「物販企業様で、自社で物流運用している皆様」と「物販企業様で、物流を委託している皆様」に役立つ「物流サービスの見える化の方法」と「物流サービスの見える化の運用方法」、そして「物流サービスの見える化のフォーマット例」を解説していきます。
尚、この記事は、物流運営形態が ”物販企業様が自社で物流運営”と”物販企業様が物流を委託している”場合となります。
物流 = 物流サービスとは?
物販企業様にとって、物流はマーケティング活動のインフラでもあり、そして重要な顧客とのコミュニケーション接点の一つです。物流は単なる機能ではなく、サービスであります。
素晴らしい物流サービスの提供によって、エンドユーザー様や取引先様からの満足度・信頼度を高めることができます。逆に、物流サービスの劣化は、満足度・信頼度を大きく下げてしまう可能性が高いです。物販企業様にとって、持続的成長を実現する為には、物流サービスレベルを高め、競合他社よりも優位ポジションを常にとって、物流で恒常的な競争優位を確保する事が必須となります。その為に、まずは自社の物流サービスレベルの見える化と評価を行いましょう。
物流サービスの分類と 見える化内容について
物流をサービスとして考え、差別化して、競合他社への優位性を獲得していく必要がありますが、どんな分類分けをして考えていけばよいでしょうか?大きく3つに分けることを推奨します。
①「一般的な物流サービス」
②「特定のニーズに対応した物流サービス」
③「ユーザ不満足に直結する物流サービス」
「一般的な物流サービス」の見える化
一般的な物流サービスは、「基礎物流サービス」と「基礎物流CRM(付加価値)」の二つがあります。基礎物流サービスレベルが他社よりも優位であれば、恒常的(自然に)売上&ユーザ獲得が可能です。下記の表では、自社と競合のサービスレベルを比較して、改善が必要であるかどうかを検証します。
項目 | 内容 | 自社 | 競合 | 要改善 |
<基礎物流サービスレベル> 可視化&評価/競合比較 | 受注締切/休日設定 | |||
配送料価格/配送料無料価格 | ||||
モール物流レビュー評価 | ||||
出荷リードタイム | ||||
入荷業務リードタイム | ||||
<基礎物流CRM(付加価値)> 可視化&評価/競合比較 | 梱包資材デザイン/表 | |||
内容物デザイン/表記 | ||||
返品対応/表記 | ||||
受注・出荷情報の回数・タイミング | ||||
<基礎物流品質> 可視化&評価 | 誤出荷 誤ピック/商品違い/数量違い/配送先違い | ー | ||
欠品 入荷計上ミス/出荷ミス/保管ミス | ー |
上記は、特にEC販売を中心としたB2C物販企業をイメージしています。各企業様毎に、項目を過不足させて、実態の競争環境に合わせた表を完成する必要があります。
「特定のニーズに対応した物流サービス」の見える化
特定のニーズに対応した物流サービスとは、各物販企業様の市場のビジネス特性を十分理解した上での、ビジネスの特徴に合わせたサービスです。主に下記の二つ分類が代表的です。
*「業種別 商品形態別」
アパレル、化粧品、PC・スマホ周辺雑貨、インテリア、家電、食品などの商品カテゴリ
*「ビジネスモデル別 販売形態別」
EC受注発注+在庫保管型、EC最小在庫保管型、EC+店舗(オムニチャネル)型、
EC+卸在庫共有型、メーカーEC(D2C)型などの販売形態
項目 | 内容 | 自社 | 競合 | 要改善 |
<業種別商品形態別 物流サービス> 可視化&評価/競合比較 | ・アパレル特化 裾上げサービス/展示会予約 | |||
・化粧品特化 サンプルサービス/セット販売 ロット管理/許認可 | ||||
・雑貨特化 予約販売/福袋/ギフト対応 | ||||
・食品特化 定温管理/消費期限管理 先入れ先出し出荷 | ||||
・大型商材特化 取付設置サービス/直送管理 入荷特別検品 | ||||
<ビジネスモデル別 物流サービス> 可視化&評価/競合比較 | EC受注発注+在庫保管型 | |||
EC最小在庫保管型 | ||||
EC+店舗(オムニチャネル)型 | ||||
EC+卸在庫共有型 | ||||
メーカーEC(D2C)型 | ||||
アマゾンFBAorZOZO特化型 (ECモール物流納品特化型) |
「ユーザ不満足に直結する物流サービス」の見える化
原則的には、上記の二つの物流サービス評価が重要となりますが、特定の販売状況、売上状況において、物流サービスレベルが低下してしまう現象がよく発生します。
物流サービスの低下は、表面的には分かりづらく、事態が悪化して初めて認識するケースが多いです。その為、特定の条件下のおいては、自ら調査を行い、チェックする必要があります。
下記は、その代表的な一例となりますが、その他にも特定の状況は多数存在します。ここで理解、認識してほしい事は、”顕在化してからの対策では遅い可能性が高い”という事です。問題が顕在化した場合は、問題解決までの期間の中で、多くのユーザ様やお客様を失う事となります。
それを防ぐためにも、「定期的な物流サービスチェック」が必要となります。
項目 | 内容 | 自社 | 競合 | 要改善 |
<繁忙閑散ギャップ型の物流の場合> 可視化&評価/競合比較 | 繁忙閑散期の入荷リードタイム 繁忙閑散期の出荷リードタイム | ー | ||
<急激に成長している物流の場合> 可視化&評価/競合比較 | 入荷遅延の常態化 出荷遅延の常態化 物流品質低下の常態化 | ー | ||
<売上が微減している物流の場合> 可視化&評価/競合比較 | 物流品質低下の常態化 物流サービスの劣化 | ー |
物流サービスの「見える化の運用ルール」について
物流サービスの見える化の運用については、厳格な運用ルール設定と実践が必要です。特にチェック項目を、定めた期間内に、誰が、どんなフォーマットで、チェックするのか?そして、どんな方法で共有するのか?を具体的に決める必要があります。
*チェック項目の決定 *チェック期間/頻度
*メンバー選定 *スケジュール
*チェック報告フォーマット *共有方法
そして何より大事な事は、当該メンバーに、目的と方法を理解してもらう必要があります。当該メンバーの選定については、その後の物流サービス開発・改善メンバーであることが重要です。
チェックする人と、検証する人、改善を行う人は、同一チームであることが、持続的な物流サービスの改善の成果に繋がってきますので、慎重に選定することをお勧めします。
物流サービスの開発・改善チームの発足と推進について
全体の物流改善を進めていく上で、物流サービスの開発・改善チームは特別なチームとなります。特に、物流戦略人材様と物流現場責任者様が積極的に進めていく必要があります。
物流サービスの開発・改善は、販売部門を含めた事業戦略と深く関連しており、経営戦略上でも重要な戦略の一つとなります。
代表的な例としては、アパレル業界では、ZARAやユニクロは、まさしく製販一体化を進めていくと同時に、物流サービス改革を進めてきました。かねてより食品宅配の生協グループ、家電業界ではヨドバシカメラ、プラットフォームではAmazonなど、物流サービス改革により競合他社との差別化を推し進め、大きな成長を遂げています。
物流サービスの見える化&運用について まとめ
ここまで、物販企業様の「物流サービスの見える化とその運用」について、説明させていただきましたが、ご興味をいただけましたでしょうか?
もっと詳しく知りたい方、さらに具体的な方法を知りたい方はいらっしゃいますでしょうか?
LogiGaden(ロジガーデン)では、今後も「物流サービスの見える化」の具体的な施策について、もっと深堀りして、発信してきたいと計画しております。各種準備が整い次第、随時ブログにて発信させていただきます。
私達、LogiGaden(ロジガーデン)では、
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