はじめに

この記事を読んでいただいている方の多くは、他の記事をご覧いただいている方が多いかと思います。これまで解説してきたのは、実行するまでに、多くのプロセス(現状を分析すること、問題・課題を抽出すること、改善アイデアを立案すること、優先順位をきめること、そして関係各位に共有すること、そして改善アクションを実行すること。)でした。このプロセスを経て、ここまで辿りついているかと思います。
既に物流改善アクションプランが思いついたり、一部アクションプランを具体的に実行し始めていると方も多いかと思います。それはとても素晴らしいことです。

今までもとても大事なステージでしたが、ここからも大事なステージとなります。
これからは、「成果が出るまでやり続ける。持続的な物流改善活動をやり続ける。」為に必要な ”物流改善タスク進捗管理」方法を解説させていただきます。別の記事で詳しく解説していますが、身に着けるべき「二つの技術」となります。
それは、「物流改善タスク進捗管理」「やり続ける強い意志をチームで持ち続ける」技術です。前者の物流改善タスク管理の手法だけが技術だと思っている方が多いかもしれませんが、後者も技術となります。

物流改善タスク進捗管理 方法の概要

まずは、「物流改善タスク進捗管理」の手順について簡単に説明します。

 優先順位の高い物流改善アクションプランを一覧化する   *推奨フォーマット
 物流改善アクション毎に細かいアクションタスクを作成する *タスク単位を明確化
 アクションタスク毎に、役割(誰が)とスケジュール(何時迄に)を明確化する
 ④進捗管理する単位(週、隔週、月)を決める
 進捗管理するサブメンバーと打合せ単位を決める
 進捗管理打合せの具体的な方法を決める(対面、WEB)
 ⑦物流改善タスク進捗管理表をフォーマット化し、各自の進捗管理の役割とルールを共有する
 アクションプランを実行して、進捗管理テスト期間の中で、各種調整や理解を深める
 ⑨全体進捗管理をリーダーが集約して、定時に参加メンバーならびに会社へ報告する
物流改善タスク進捗管理 手順の一例

上記の①~⑨のプロセスは、必須となります。一見するととても大変なプロセスかと感じるかと思いますが、チームビルディングする上では大事な行為となります。前述しましたが、実行するまでのプロセスにも重要な意味があり、参加メンバーとの交流・共有が不可欠となってきます。

次に、具体的に、物流改善タスク進捗管理表を用いて、解説させていただきます。

物流改善タスク進捗管理表(フォーマット)について)

下記は、3つの物流運営形態のどちらでも、基本的には使用できるものとなっています。
今回は、物販企業様が自社物流運営されている場合での内容にさせていただいます。

*ちなみに、3つの物流運営形態は「物販企業様:自社物流運営」「物販企業様:委託済物流」「3PL物流会社」となります。

改善プランタスク役割締切状態完了進捗説明
作業マニュアル作成入荷検品業務Aさん8月30日実行済マニュアル作成済
指定フォルダ***に格納済
出荷梱包業務Bさん8月30日実行中未完セールの為、物流作業量が増え、遅延。9月5日に完了予定
入荷業務遅延対策「海外入荷予定表」を作成(スプレットシート)Cさん9月7日実行中未完順調に進捗中
「海外入荷予定表」運用方法設計Cさん9月14日実行中未完順調に進捗中
「海外入荷予定表」の周知・共有・テストB、Cさん9月21日未実行未完打合せ日程は調整済
9月4日に進捗確認会議で、進捗確認する場合

「物流改善タスク進捗管理方法」を理解する上で、「物流改善タスク進捗管理表」のフォーマットをご確認いただくと、より理解が深まり、具体性が高まると思います。

物流改善タスク進捗管理表のフォーマットの活用に興味がある方は、こちらをどうぞ
・推奨する「物流改善タスク進捗管理表」のフォーマットはこちら→

物流改善タスク進捗管理を 円滑に行う上でのポイント3つ

改めてとなりますが、「物流改善タスク進捗管理が重要である」ことは、皆さんご存じかと思います。その理由は、簡潔に言うと「組織的に、持続的物流改善を行っていくことが、非常に難しい」からです。何度も難易度について説明させていただいていますが、物流改善を取り組んでいる皆様には、痛感されているかと思います。

他の記事で、物流現場特有の問題について解説しています。ご興味ある方は、こちらもどうぞ。
・なぜ?物流改善、コスト削減は進まないのか?4つの原因と対応策

上記記事を読んでいただいた方の多くは、「物流改善タスク進捗管理」の重要性を改めて確認していただいたかと思いますが、「物流改善タスク進捗管理」を円滑に進めていく為のポイントを、大きく3つ解説させていただきます。

ポイント① 定期で開催する打合せを、大事にする文化を醸成する

この点は、当たり前すぎて説明するのも恥ずかしい限りですが、「労働集約型ビジネスであること」「日々の物流現場オペレーション運営が主業務であること」「そして何より繁忙期閑散期があること」という大きな制約が物流現場には潜んでいます。そして、物流センターで働く多くの物流責任者や物流社員や物流スタッフの多くには、心理的バイアス「現状容認バイアス」が強くかかっています。

それを打破する為には、打合せを定期で開催すると決める事。それを遵守することが重要です。
ちなみに繁忙期と閑散期の開催頻度を事前に計画的に調整することはOKであり、有効的です。しかしながら重要なことは、合理的に計画的に決めた打合せ開催を、日々の業務優先で開催しないという事を極力少なくすることです。言い換えれば、打合せを計画した時点で、チーム組織として計画通り打合せを開催する為に、日々の業務をいかに工夫するかを考えて、日々行動するということです。

結果として、チームが組織的に日々の現場業務を助け合って、計画的に実行する組織力を身に着けることができます。まずはこのステージを目指すことが大事です。出来ない理由を考える組織・個人ではなく、いかに出来る方法を考え、工夫できる組織個人を尊重していきましょう。

ポイント② 自分が仲間が、楽(ラク)になる改善を重要視しよう!

このポイントは、当たり前であると、簡単であると、チーム組織全員が納得することではありますが、実際に重要視して進めていくことは難しいことでもあります。

唐突ですが、楽(ラク)とは、どんな状態でしょうか??

楽(ラク)は、人によって大きく価値観が変わってきます。本来の楽(ラク)とは、下記の意味です。
1. 心身に苦しみがなく、ゆったりして、安らかなこと。
2. 苦労するまでもなく、たやすいこと。

注意するのが、決して「暇であること、何もしなくてもいいこと、手を抜いていいこと」ではありません

それでは、記事本文に戻りますが、ここで言う「楽(ラク)になる改善」とは、”今まで心身ともに苦しみがあり、難易度がたかい業務を、無理してやっていることを改善していきましょう”ということです。

しかしながら、実は誰しもが共感できるこの改善にも、大きな心理的な壁があります。それは、”業務内容を変えたくない、変えて失敗したくない”という心理です。この心理は、全階層の社員・スタッフに共通するものであり、誰もが持っているものです。そして毎回超えるべき壁です。

ここまで、心理的な、精神的な部分を強調して解説していますが、とても重要であるからです。何よりこの合理的ではない、そして善悪のない無意識な「現状容認バイアス」こそが物流現場改善における最も大きな壁となります。その壁を乗り越えるために、必要な事が、「良くするという積極性」と「良くなるという合理的な利便性」です。

上記をチーム組織で、より分かりやすく周知・共有する為のスローガンが、「自分が、仲間が、楽(ラク)になる改善をしよう!」という事です。このスローガンが絶対的に良いということではありません。チーム組織で実行する物流改善タスクを、より良く進捗管理する為の方法の一つとして理解してくれると幸いです。

ポイント③ 社内・社外の人的リソースを最大限活用しよう!

前述しました、「組織的に、持続的物流改善を行っていくことが、非常に難しい」「物流改善タスク進捗管理が重要だ」ということを、既に十分ご理解いただいているかと思います。

しかしながら、難しいから?重要だから?と言って、あまり神経質に捉えて、心配し過ぎて、考えることが多くなり、なかなか実行しない、出来ないということは、望ましくありせん。この記事で最後に伝えたいことは、失敗を恐れず、組織の不調和を恐れず、勇気をもって物流改善活動の道を突き進んでほしいという事です。早期に結果が出ず、活動を共にするチームメンバーからの不満や不信感が蓄積していまうことも、もちろんあります。それは避けて通れない道です。

そんな険しい物流改善の道を進んでいくのに、必要な事がポイント③となります。

それは、社内の人的リソースを最大限活用する事です。具体的には、経営層や物流部門以外の責任者とのコミュニケーションを途切れることなく、盛んに行っていくことです。そして、物流部門の目標達成に終わる事なく、自社の経営理念の実現を高い目標に掲げていくことです。物流改善の道は、多くの失敗の中から学び、成功確率を高めていくことしかありません。失敗を恐れず、社内の志の高い人材とともに、歩んでいってください。

さらに、物流改善の成功確率を高めていく為に、社外の人的リソースも積極的に活用していって下さい。大きな壁にぶち当たった時こそ、社外の知見が役に立ってきます。これは間違いのない本質的なことだと思います。しかしながら、有料であれば必ず社外の人的リソースが役に立つという事ではありません。より自社のビジネスをモデルを理解し、親身になって、長く続けられる良心価格の実力・実績のある物流コンサルタントとの出会いが重要です。


物流改善タスク進捗管理方法の まとめ

物流改善の道は、真剣だからこそ、チーム組織の中で孤独感を味わうこともあります。それは避けられない当たり前の事として、受け入れる強い志が必要です。また志の高い社内外の人的リソースとの交流によって、壁を乗り越えるために不可欠なことを気づかせてくれると思います。勇気をもって、物流改善の道を突き進んでいかれることを切に願っています。
ここまで、「物流改善タスク進捗管理方法」について、説明させていただきましたが、ご興味をいただけましたでしょうか?もっと詳しく知りたい方、さらに具体的な方法を知りたい方はいらっしゃいますでしょうか?
LogiGaden(ロジガーデン)では、物流改善の具体的な施策について、もっと深堀りして発信してきたいと計画しております。各種準備が整い次第、随時ブログにて発信させていただきます。

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