はじめに

昨今、”物流の最適化”がビジネスの成長を加速させる一大要素となりつつあります。
経営層や物流責任者の皆様へ、「物流コンサルタント」の積極的な活用は、物流の最適化にむけての、重要な選択肢の一つと言えるでしょう。
「物流コンサルの種類とその特徴について」をテーマに、本記事では、大手からフリーランスまで、各種の物流コンサルタントの特徴を探求し、選定の際に役立つ解説をさせていただきます。
物流のプロによる知見と経験を活かし、ビジネスの更なる発展を目指していきましょう。

物流コンサルって必要?
現在の人材・雇用環境の課題とは? 外部リソース活用の重要性とは?

日本のビジネス環境・商習慣は、欧米と違って、人的リソースを社内で抱える傾向がとても強いです。

一部の定型事務業務(経理、総務、労務等)については、近年アウトソーシングすることも増えてきま
したが、まだまだ多くの業務を社内リソースで行う事が多い状況です。
さらに、社内リソースが足りず、且つ最も重要である、より高度かつ深い経験と知識が必要な領域(経営
や物流や新規事業等)
についても、多くの企業(グローバル大企業除く)は、社内リソースにこだわって
組織づくりを
行います。

果たして、これからの時代に、この経営手法・プロジェクト運用手法は、正解なのでしょうか?
答えは、ノー(NO)です。

それは、近年、そして今後は、今まで以上に社会の変化(社会環境、経済環境、競合環境)は早く、厳し
くなる
からです。さらに日本の雇用環境は、社員を事業縮小に合わせて、または収益確保の目的で解雇す
ることは非常に難しい
状況です。一方で転職する環境は整備されつつあり、多くの時間とコストをかけて
育成した経営人材・アントレプレナー人材こそ、社外へ流出するリスクが高くなっています。

このような環境下においても、企業が持続的成長を勝ちとるためには、現状の事業領域でも多くのチャレンジをする必要があり、状況によっては事業ピボット(転換)も必要です。これは不可避であり、企業内も大きな、また柔軟な変化がより求められる状況となっています。また成果を出す期間・リミットも非常に短くなってきています。

結果として、持続的成長を続けていく企業にとっての人材活用の一つのモデルは、
最適かつ有能な外部リソースの積極的活用の重要性であります。

ここまでの話は、今現在の多くの経営者・ビジネスマンが実感している事かと思います。
それでは、次に高度な知見領域の外部リソースの代表であるコンサルティング市場について解説します。

現在の物流コンサルティング人材について

現在のコンサルティング市場の人的課題

まず、コンサルティング業界全体としての「一番大きな問題」があります。
コンサルティングニーズ(需要)優秀なコンサルティング人材(供給)のバランスが崩れている事
が挙げられます。
需要が多い事は要因ではありますが問題ではありません。特に供給側の問題が大きいです。
本質的な問題は、優秀なコンサルティング人材の育成に時間がかかるからです。
もちろん、コンサルティング人材育成には、多くのケーススタディ(実務経験)が必要となります。
さらに、深刻な問題になっているのが「特定分野のスペシャリストが圧倒的に枯渇」しています。
 

物流分野のスペシャリスト コンサルティング人材について

前述で、特定分野のスペシャリストが極端に少ないと説明しましたが、
物流分野のスペシャリストについては、いかかでしょうか? 結論としては、極めて少ない状況です。

これには、少し過去からの理由があります。
もともと大手コンサルティングファームの歴史は、グローバル企業でのコンサルの歴史です。
グローバル企業の物流課題は、いわゆるグローバルサプライチェーンマネジメントの領域となり、原材料
の調達物流から、生産物流、販売物流というメーカー主導のロジスティックス構築がメインなります。
しかしながら、日本ではデフレ環境が続き、ビジネスのパワーバランスは、メーカーから小売チェーンへ
大きくシフトしました。またECの普及により、さらにメーカー主導の物流は衰退していきます。
結果として、日本の物流は、独自の進化(良い意味でのガラパゴス化)を遂げています。
その為、日本における物流コンサルティング領域は、日本独自に構築していく必要があり、大手コンサル
ティングファームの最大の利点である海外の実績・事例の水平展開が難しくなっています。
結果として、物流コンサル案件の受託数も少なく、大手コンサルティングファームを筆頭に、物流分野の
スペシャリストが今の少ない状況にあります。

現在の物流コンサルティング市場について

コンサルティングの形態は、大きく4つに分かれます

①大手コンサルティングファーム :経営と物流の総合型

 一般的に、戦略系コンサルティング、総合系コンサルティングと呼ばれているジャンルです。
 クライアント様は、グローバルかつ大企業となります。コンサル業務は企業・事業戦略立案から
 基幹システム構築や流通エコシステムの構築など多岐にわたります。
 代表的な会社としては、マッキンゼー、BCG、アクセンチュア、PwC、デロイトトーマツ、
 アビームなど一度は耳にしたことがある有名な会社が多数います。

②中堅 物流コンサルティング会社 :物流総合型

 ここでは、物流分野につよく、日本を中心にコンサルビジネスを展開している会社となります。
 特徴としては、多くの会社が物流会社の子会社の場合が多く、具体的なソリューションは親会社の
 物流インフラを活用しての提案の確率が高いです。独立性の高い物流コンサルティングはとても少
 なく状況にあります。
 代表的な会社としては、日通総合研究所、SBS東芝ロジ、丸紅ロジ、船井総研ロジなど多数ありま
 す。船井総研ロジは比較的独立性が高いです。

③コンサルティング仲介プラットフォーム :総合マッチング

 近年増えてきているのが、コンサルティング仲介プラットです。
 中小企業やフリーランスの物流コンサルティング人材が登録して、仲介プラットフォーム経由で案
 件が紹介される仕組みとなります。
 代表的なサービスとしては、サーキュレーション、PROFFIT、ハイパフォコンサルなど多数あります。

④中小企業/フリーランス 物流コンサルティング :物流専門特化

 また新型コロナ禍の中で増えたのが、中小企業/フリーランスのコンサルティングサービスです。
 特徴的な事は、得意とする分野や市場を限定化して、強い専門性と実績を武器に、フットワークよく
 クライアント様に伴走するスタイルで、低価格で提供しています。
 ブログやSNSを通じて情報発信を行っているケースが多く、③のコンサルティング仲介プラットフォ
 ームに登録されている方も多くいます。これからは、多くの企業が、中小企業/フリーランスのコン
 サルティングサービスから発信されている情報をよく収集して、有効的に活用するケースが増えてくる
 かと思われます。
 代表的なサービスは、一つ一つが小規模なのでありませんが、
 本サイト運営者が行っている「 LogiGaden(ロジガーデン)コンサルティングサービス 」をお勧めし
 ます。

4つのコンサルティング形態別の 違い・特徴とは?

 とてもシンプルですが、下記の3つが違います。
 ●「対象のクライアント様の事業規模」 が大きく違います。
 ●「提供するコンサルティング領域」 が大きく違います。
 ●「サービス料金 」が非常に大きく違います。

 4つのコンサルティング形態の違いと特徴を表にしました。
 あくまでも参考となりますが、それぞれの特徴を理解して、よりよく活用することで、皆様の
 ビジネスのサポートとなるかと思います。

大手コンサル
ファーム
中堅
物流コンサル
コンサル仲介プラ
ットフォーム
中小規模/フリーランス
物流コンサル
概要【大企業向け】
グローバル
経営改善
【大企業向け】
物流戦略
物流委託
コンサル紹介【中小物販企業向け】
物流戦略
物流改善
【中小3PL向け】
経営改善
物流改善
対象領域企業戦略
事業戦略
物流委託
物流戦略
物流配送最適化
物流コンサル
マッチング
物流現場改善
物流コスト改善
物流サービス改善
物流DXサポート
物流委託先検討サポート
3PL経営改善
3PLサービス開発
3PL営業開発
コンサル料
年5千万~数億

年2~5千万

年500~3千万
*仲介手数料含
中~小
年200~1千万
メンバー
構成
主に3名以上
 マネージャ
 コンサルタント
 アナリスト
 (ジュニア)
主に2名以上
案件別に対応
プラットフォーム
営業と
登録コンサル
タント
経験豊富な
シニアコンサルタント
1名以上
PJ
期間
数年単位案件別
年単位
メニュー別
細分化され、

成果までが早い
コンサルティング形態別 特徴

各コンサルティング別の特徴について

大手コンサルティングファームについては、詳しくは解説しませんが、コンサル料金がとても高く、
グローバルな大企業にとっての、重要な企業戦略・事業戦略のコンサルティングを担います。
プロジェクト期間は比較的長く、事業理解やコスト構造、組織構造など調査・ヒアリングを十分に行い、
よりクリティカルかつ将来に向けた戦略的思考でのコンサルティングを得意とします。

これから先は、グローバル企業以外の多くの大中小規模企業様にお勧めできる3つの物流形態を比べてみ
ましょう。

*「中堅 物流コンサルティング会社」の特徴

 ●概要:
  前述のとおり、物流会社の系列もしくは子会社が比較的多いため、物流知識と経験も豊富です。
  しかしながら、系列上の観点で、系列を活用した物流委託の提案を主とする傾向が強いです。
  必然的に、物販会社様が自社で物流運用を続けていく場合は、コンサル対象外となるケースもあり
  ます。

 ●特徴:
  原則的には、物流会社自身での物流知識と経験をベースにしたソリューションが中心となりますの
  で、物販会社様にとって最も重要な販売と物流の相関関係をあまり意識しない提案となる場合もあり
  ます。総じて、系列がもつサービス・アセット(物流委託、倉庫賃貸、人材派遣、物流機器設備投
  資等々)の営業
もしくはソリューション提案が色濃くなる可能性が高いです。

 ●費用対効果
  物流コンサルティング費用は、中規模程度です(年額2~5千万)
  コンサルティングメニューが細分化されている会社様が少ないため、”どんな課題を、いつぐらいの期
  間で改善したい”
と明確化、そして要件定義化してから、相談すると良いでしょう。
  費用単位は、月額単位であることが多いため、単純にコンサルティング期間(=費用)と改善成果と
  のシュミレーションを行い、提案されたソリューションの実現可能性を熟慮して、検討する事が必要
  となります。

 ●情報収集や選定:
  純粋な物流コンサルティングを望む場合は、独立系の中堅物流コンサルティング会社も少ないながら
  存在しますので、HP、SNS、メディア発信で情報を収集し、各コンサルティング会社別の特徴を
  く吟味して選択す
ることを推奨します。
  前述しましたが、コンサルティングメニュー化されていない場合が多いですので、クライアント様側
  も物流経験者が必須であり、現状の物流分析・課題抽出、そして要件定義を先に作成した上で、会
  社選定ならびに決定を行う必要があります。

* 「物流コンサル仲介プラットフォーム」の特徴

 ●概要:
  前述のとおり、コンサル仲介プラットフォームでは、物流コンサルタントの登録者の中から、最適な
  人材を選択
することとなります。
  物流コンサルタントの「人柄」や「知識と経験」「過去実績」をプラットフォーム側で評価した上で
  紹介されてくるので、一定の安心感があるかと思います。
  コンサル仲介プラットフォームの営業担当者様が、お勧めする人材を複数人面談していく形となりま
  すが、ここで重要な要素があります。営業担当者様が物流の知識と経験、またクライアント様の事業
  理解、物流理解、物流課題の理解を深めてもらうことが重要です。
  場合によっては、クライアント様の業界に明るい方、もしくは物流業界に明るい方を営業担当者とし
  て変更してもらうことも必要かと思います。
  まず初めに、営業担当者様との信頼関係構築が必須となります。

 ●特徴:
  コンサル仲介プラットフォームでは、多くの物流コンサルタントが登録されている事が最も大きなメ
  リットです。一方で、仲介プラットフォーム側で、各コンサルタントの実力(知識と経験、プロジェ
  クトマネジメント)を体系的に評価されているケースは少ないです。
  多くの場合は、紹介された複数のコンサルタントを吟味して選定する事は、クライアント様の責任
  となります。前述でコンサル仲介プラットフォームは一定の安心感があると述べましたが、選定時点
  においては、厳密にいうと評価選定はとても難しい状態にあるかと思います。
  結論としては、営業担当者様の情報や評価やおすすめを鵜呑みにすることなく、クライアント様と物
  流コンサルタントが直接コミュニケーションを多く取る必要があると思われます。

 ●費用対効果
  実質は、コンサル仲介プラットフォーム会社の手数料が発生(コンサル料に含む)しますので、直接
  コンサルタントと契約する場合に比べて、20%~40%の費用が上乗せされているかと推測されます。
  多くのコンサルタントと短い期間で面談したい、まずは直ぐに初めてみたい場合などは、とても有効
  であるかと思います。原則、同じコンサルタントと契約を継続しつづけるには、実質手数料が発生し
  続ける構造となっていますので、注意が必要かと思います。
  総合的に考えると、初めてのコンサルの場合とスポット的コンサルの場合にお勧めします。

 ●情報収集や選定:
  今現在、多くのコンサル仲介プラットフォームがありますが、物流コンサルタントに特化したサービ
  スはありません。
複数のプラットフォームで、粘り強く最適な物流コンサルタントを探すことをおす
  すめします。

* 「中小規模/フリーランス 物流コンサル」の特徴

 ●概要:
  中小規模、フリーランスの物流コンサルタントの多くは、過去にどこかの会社に属して十分な物流
  経験や知識を得て
から、個人のコンサルタントのパフォーマンスを最大化してから、独立や転職をさ
  れているケースが多いかと思われます。
  コンサルタントのプロフィールが公開され、物流コンサルティングの得意な分野・領域が分かりやす
  く説明
されている場合が多いのです。
  そもそもコンサルティング業務は、どの規模のコンサル会社でも、担当してもらう人材の質によって
  大きく成果が変わってきますので、中小規模/フリーランスの物流コンサルはその点においては、
  価・選定しやすい
のかと思われます。

 ●特徴:
  中小規模、フリーランスの物流コンサルタントの多くは、大手コンサルや中堅コンサルと違って、
  クライアント様のビジネスと組織に伴走して提案をしてくれる傾向が強いです。
  それは、大手コンサルや中堅コンサルのビジネスモデル上、クライアントと対面するコンサルタント
  やアナリストは、常に時間当たりの報酬額を管理されている事が多く、時間外での余白の仕事(私は
  これがとても重要かとおもっています)をすることがない、もしくはできないからです。
  その点において、中小規模/フリーランスの物流コンサルの柔軟性と伴走型のスタイルは一定の価値
  があると思われます。
  一方で、中小規模/フリーランスの場合は、コンサルがよく利用する「各種フレームワーク」や「課
  題解決メソッド」「プロジェクトマネジメント」の活用やスキル経験が乏しい場合
がありますので、
  物流経験だけでなく、コンサルティング知識・経験も評価することも必要でしょう。
  さらに前述しましたが、物流コンサルタントの得意な領域が明確化されているため、クライアント様
  の課題との親和性が高い場合は、何より成果が出ることが早く、成果も最大化することでしょう。

 ●費用対効果
  中小規模/フリーランスの物流コンサル料金は、他に比べて、良心的な価格の場合が多いです。
  それは、物流コンサルを行う範囲が明確化されている場合も多く、得意な領域を最小人数でコンサル
  していく為に、必要な人的コストが最小限に抑えられるからです。
  その点において、コンサル領域が明確化されている場合、そしてその領域が得意なコンサルを選定で
  きた場合は、成果がでることも早く、費用対効果は最大化します。

 ●情報収集や選定:
  前述したコンサル仲介プラットフォーム経由で中小規模/フリーランスの物流コンサルタントを探す
  場合もありますが、仲介手数料が発生したり、無理なマッチングを行ってくる場合もありますので、
  あまりお勧めできません。
  
  特に、この中小規模/フリーランスの物流コンサルタントは、近年の働き方改革や働く価値観が変
  わり、増えてきています。まだまだ少ないですが、SNSやHPブログでの発信を増やして具体的な
  コンサルティング内容やコンサルタントのブランディングを推し進めて、実績を重ねているケース
  も、増えてきています。
  企業様が独自に、WEB検索やSNS発信を通じて、探していくことをお勧めします。

  ここまで本記事を読んでいただいた企業様は、是非、良心価格のコンサルティングサービスを、見極
  める目を肥やして、積極的に親身に取り組んでくれるコンサルティングサービスを採用して、事業拡
  大のきっかけにしてほしい
と切に願っています。


物流コンサルの種類とその特徴の まとめ

この記事では、物流コンサルティングの種類とその特徴を解説させていただきました。
また、どんなクライアント様が、どんな種類の物流コンサルティングを選択するのが良いのか?も解説させていただきました。この記事の冒頭で、社会環境や経済環境の変化が近年著しく、私個人としても今の時代に何がベストな手法なのか?を模索している日々です。一方で一度進んだ流れを止める事はとても難しく、時代の流れを汲んで、またその先をイメージして事業展開していく必要があります。
強く断言できるのは、今、これからの時代を勝ち残っていく為には、「優秀かつ可変できる人材リソース/知見リソースを、社内社外に保有する事」です。

私達、LogiGaden(ロジガーデン)では、
物流ノウハウや情報を発信する「物流ブログ」と、
良心価格で長く続けられる「物流コンサルティングサービス」を提供しています。
二つの取組みで、物流に携わる皆様のご支援ができるように努めてまいります!ので、
何卒ご愛顧のほど、よろしくお願いします。