はじめに
日本の物流倉庫内では、今現在、急激な労働力不足の大きな波に、のまれようとしています。この波は2030年まで加速していくと想定されており、多くの物流現場での喫緊の課題となっています。この課題に正面から「倉庫内作業の省人化・機械化・ロボット化・システム化」という手法で取り組む物流DX企業も多く存在しています。物流テックによる課題解決が全てではありませんが、有効的な手段の一つとなります。この記事では、具体的な事例を「提供するサービス」と「チャレンジしている企業」の二つの側面で紹介していきたいと思います。尚、最近のニュースのみとなります。是非皆さんご参考ください。
協働型ピッキングロボット「ラピュタPA-AMR」を 安田倉庫へ導入
23年9月27日
安田倉庫、ラピュタロボティクスの「ラピュタPA-AMR」を厚木営業所にて本導入を行い、生産性向上を実現
~導入効果として平均40%の歩行時間、平均30%の作業時間を削減~クラウドロボティクスプラットフォームを提供するラピュタロボティクス株式会社(東京都江東区、代表取締役 CEO:モーハナラージャー・ガジャン、以下ラピュタロボティクス)は、安田倉庫株式会社(東京都港区、代表取締役社長: 藤井 信行、以下安田倉庫)の厚木営業所に、協働型ピッキングアシストロボット「ラピュタPA-AMR(Autonomous Mobile Robot)」を本導入のために納入いたしました。
■背景と目的
安田倉庫はDX事業推進室を新設し、さまざまな物流課題解決のため、自動化ソリューションを活用した省人化・省力化を進めています。「体験本導入プラン」を活用中、ラピュタロボティクスのカスタマーサクセスチームが安田倉庫と連携し、生産性向上に向けたデータ分析を行いました。データを用いた管理や計画、現場が直面する課題に対する具体的な施策の立案・実行を行った結果、平均40%の歩行時間を削減、また平均30%の作業時間の削減を実現しました。お客様と一緒に、生産性向上に向けて改善に取り組むラピュタロボティクスのカスタマーサクセス体制も評価をいただき、本導入の決定をいただきました。
■導入においてのポイント
1. ピッキング歩行時間の削減
安田倉庫の厚木営業所では、約1,500㎡のピッキングおよび保管エリアにおいて、カートを使ったシングルピッキングをされていましたが、ピッキング中の長い歩行時間削減について解決策を模索していました。今回、ラピュタPA-AMR導入に伴いマルチオーダーピッキングに変更し、荷下ろし場までの運搬をラピュタPA-AMRに任せることで作業スタッフの歩行時間削減を掲げ、体験本導入プランをスタートさせました。約3カ月の期間中に週次で定例を行いながら、生産性に一定の効果が見られたことにより、本導入を決断されました。
2. 作業スタッフの作業負担低減
オーダーにより数十点以上の商品をピッキングする現場となり、物量が多い日には作業スタッフの負担について解決策を検討していました。安田倉庫では、積極的に作業スタッフの働きやすい職場環境づくりに取り組まれており、ラピュタPA-AMRオペレーションの特徴である「手ぶらでのピッキング」による、省力化について評価頂き、体験本導入期間中で効果を実感され、導入判断の1つとなりました。
3. ラピュタPA-AMRから得られるデータの利活用
ラピュタPA-AMRから得られるデータから作業スタッフの生産性を可視化しました。得られたデータを作業スタッフへの個別フォローに活用することで、結果として全体のピッキング効率を底上げすることに成功しております。その他にも渋滞ロケの分析や取得データから一部レイアウトの変更を行なうなど、継続的な改善活動の一環としてAMRデータを利活用頂いております。
今後もラピュタロボティクスと安田倉庫は、ラピュタPA-AMRを活用し、物流におけるさまざまな課題解決に向けて取り組んでまいります。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000091.000021229.html
自動ソートロボット「t-Sort」と「RFID」連携システムを 浪速運送へ導入
23年9月30日
浪速運送/t-SortとのRFID連携システム導入
従来はt-Sortへアパレル商品を投入する際、商品に付いているタグのバーコードをリーダーにかざす作業を行っていたが、タグがアパレル商品と袋の中に同梱されているため、下記の事象が発生し、商品投入の生産性が悪くなっていた。
1.バーコード面が裏を向いている際にタグを反転させる手間が発生
2.ビニール製の袋に光が反射し、バーコードがうまく読み込めない場合読み取り角度を修正、再読み込みさせる手間が発生
そこで、手間の削減、作業効率を高めるため、今回RFIDリーダーの導入を進めた結果、t-Sortへの投入生産性が16%向上した。また、常時RFIDタグから発する電波をリーダー側が任意のタイミングで遮断可能な機能を持たせたことで、t-Sortのまとめ投入にも対応することができた。
尚、今回のRFIDリーダーについては、物流会社向けの自動化設備・システム導入をコンサルティングする住友商事マシネックスが、マスプロ電工(※2)製リーダーを選定、納入している。
浪速運送は、住友商事マシネックスと協働でRFIDを使用した取組以外にも様々なシステム化、自動化を推進しており、今後も更なる作業性の向上を目指しながら、物流業界全体で大きなテーマとなっている労働力不足の解消に向け、積極的に取り組んでゆきます。減~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000122547.html
EC特化型自動化物流センターに「ピッキングアシストロボット(AMR)」
100台導入計画 23年10月5日
STOCKCREW、ネットショップの発送に特化した自動化物流センターを開設
ネットショップを運営する事業者向けに発送代行サービスを提供する株式会社STOCKCREW(本社:東京都中央区、代表取締役社長:中村慶彦)は千葉県八千代市のプロロジスパーク八千代1内に約11,400㎡の倉庫Chiba Dockを開設。自律走行型ピッキングアシストロボット(AMR)を100台導入した物流オペレーションを計画。
EC市場は毎年成長基調にあり、2022年も昨年比5.37%(市場規模約14兆円)で成長を続けています。スマートフォンで簡単にネットショップが開設でき、誰でも販売ができるようになりました。こうした背景によるEC事業者の増加とともに発送業務のアウトソース需要も高まっています。一方、物流業界ではEC事業に特化したサービスは少なく、ニーズに追い付いていない状態です。
STOCKCREWの物流サービスは、個人事業主から法人までEC事業者の規模に左右されない一律の料金体系でサービスを提供してきました。ロボットの活用によるオペレーションの標準化や自社開発した受発注システムによる注文情報の自動連携など、高品質かつ低価格な物流サービスを提供してきました。STOCKCREWのサービス詳細はhttps://stockcrew.co.jp/から。
現在までに500社以上のお客様にご利用いただいており、更に多くの事業者に利用してもらえる体制を整えるため、今回約11,400㎡の新倉庫Chiba Dockを開設しました。
Chiba Dockでは、月間100万件以上の出荷を可能にするため、100台のロボット導入を予定しておりオペレーションの標準化を進め、より多くの事業者に安心して利用してもらえる倉庫体制の構築を目指します。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000019.000075214.html
自社開発WES(物流施設統合管理システム)「GWES」を トラスコ中山へ導入
23年10月2日
GROUND、『GWES』の最新機能群をトラスコ中山のプラネット埼玉&愛知へ導入
『GWES』の導入により、大型化・複雑化する物流施設のHyperWarehouse化を支援
GROUND株式会社(本社:東京都江東区、代表取締役社長 CEO:宮田 啓友、以下「GROUND」)は、自社開発した、物流施設統合管理・最適化システム『GWES(ジーダブリューイーエス)』の可視化・最適化モジュールをトラスコ中山株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:中山 哲也、以下「トラスコ中山」)の最新鋭物流拠点「プラネット埼玉」および、2026年7月稼働予定の「プラネット愛知」に導入することを決定しました。
<トラスコ中山の物流施設への導入内容>
GROUNDは両施設に対して、物流データを統合管理する『Data Connector(DC)』に加えて、施設内の可視化・分析を支援する『Progress Analyzer(PA)』、『Workload Analyzer(WA)』、および時系列分析により将来の作業量を予測する『Workload Forecast(WF)』を実装します。さらに、数理最適化の技術を用いて独自開発した人員配置最適化モジュール『Resource Allocator(RA)』の新規実装も予定しています。
<物流施設における人員配置最適化の重要性と課題>
トラスコ中山が建設を予定している「プラネット愛知」では、顧客満足の最大化を図るべく100万アイテムの在庫保有と、1日に約10万行の出荷を計画、年間最大出荷金額は1,000億円を見込んでいます。そのため、当施設には「AutoStore(オートストア)」をはじめとした最新鋭設備が複数採用され、高密度かつ迅速にお客様にお届けするための体制が構築されます。
しかしその規模の大きさから、現場の管理監督者の判断のみで物量波動や作業進捗に応じたマテハンやヒトの稼働調整を行い、作業の遅延や特定の人員への負荷の集中など、多くの課題を回避することがより困難になると想定されます。とりわけ人員配置については、常時作業状況を把握しながら、作業量の波動や複数のマテハンとヒトの作業の組み合わせを考慮し、リアルタイムに変更することが求められます。
<数理最適化技術を実装した『GWES』の概要と特長>
人員配置最適化機能は、過去の実績だけでなく当日の受注状況から総作業量を毎時見直し、高い精度で作業量を予測します。同時に、作業者の勤務時間やスキル、生産性などの情報を取り込み、数理解析により最適な作業者と作業の組み合わせを提示します。
『GWES』 は、物流DX促進に必要とされるWES(Warehouse Execution System:物流施設運用管理システム)として、ミドルウェアとなる共通データ基盤、そしてAIを適用した各種機能モジュール群で構成されている汎用性・拡張性の高いパッケージシステムです。メーカーを問わず、さまざまなハードウェア(マテハン・ロボット)やソフトウェア(倉庫管理システム・倉庫制御システム)とシームレスに連携することにより、デジタル化を推進し、物流施設全体の最適化や可視化の実現により作業生産性を向上させます。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000087.000019139.html
まとめ
この4つの事例の共通点は、「倉庫内作業のロボット化」と「ロボット化を制御するシステム構築」ととなります。特に物流倉庫作業の分類でいうところの「ピッキング」作業領域となります。ピッキング領域でロボット化・機械化して改善される点は、大きく二つです。
この「人の走行距離削減」「ピッキング精度の向上」により、生産性向上と物流品質向上の両面での効果が期待できます。
既に、物流ロボットは多くの物流システムと連携実績を重ねて、導入実績増えてきています。また投資対効果も高くなってきており、物流DXの花形商材と言えるでしょう。
一方で、導入後にロボット機械の効果を最大化する為には、業務設計の再構築、人材の再配置、機械を使用する人材の教育等々の新しい仕事が発生することも事実です。
今後物流業界は、①物流課題の洗い出し→②物流改善要件定義→③物流DX導入選定→④物流DX投資対効果試算→⑤物流DX導入PJ管理→⑥物流DX導入後業務設計→⑦物流DX後物流人材教育等々(LogiGardenでは、この領域人材を物流DXエンジニアと名称)を取り仕切る人材の育成が急務になります。また物流DX導入を専門とするコンサルティング人材も重要になってくるかと思われます。
(LogiGardenでは、物流DX導入コンサルティングサービスを提供中です。ご興味ある方は是非。)
まだまだ、機械やITツール、AIを活用した物流DXサービスは多くありますので、皆さんが分かり易いようにカテゴライズして、情報発信していきたいと思っています。ここまで読んでいただいた皆様、ありがとうございます。
私達、LogiGaden(ロジガーデン)では、
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良心価格で長く続けられる「物流コンサルティングサービス」を提供しています。
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