はじめに
物流DXの市場規模は、今現在はどのような状況にあるのでしょうか?
今回、日本ロジスティクスシステム協会(JILS)が発表した「2022年度の物流システム機器生産出荷」の統計調査をもとに、物流DXの実態を紐解いていきたいと思います。
(まず、前提条件として、今回の調査範囲は、「機械分野」「機械分野+連携するシステム分野」であると推測される。皆さんが想像される物流Techの新たなWEBサービス分野については含まれていないと予想。しかしながら、自動倉庫、ピッキングロボット、自動仕分ロボット、搬送ロボット、そしてWMSについては含まれているので、物流DX分野の売上規模の大きいカテゴリが中心となっている。)
物流システム機器 総売上の推移(前年対比)
2022年度の総売上金額は統計調査開始以来初となる6,000億円を超える結果となった。
前年対比113.8%となった。
日本ロジスティクスシステム協会レポートより抜粋
「我が国の製造業は、不透明な社会情勢や諸外国の政治・経済の不安定要素、物価上昇、産業界全体における労働力不足等、深刻な課題を抱えている。国内では、特に2024年問題への対応に向けて、国や行政から持続可能な物流の構築に向けた政策発表、会合実施が積極的に行われている。このような状況において、産業界において重要な役割を担うロジスティクス・物流は、大きな転換期を迎えているといっても過言ではない。今後、物流現場の省力化・自動化を実現する物流システム機器への重要性はさらに増していくものと考えられる。」
機種カテゴリ別 売上金額&前年対比
機種カテゴリ別で、市場規模が大きいもの順で前年対比で増加したジャンルは下記となります。
■コンベヤー系(パレット搬送用やケース搬送用、ハンガー式を含む)前年対比115.2%
(1611億2400万円)
■自動倉庫(パレット用やバケット用を含む)前年対比117.9%
(1391億3400万円)
■WMS(倉庫管理システム:ソフトとハード含む)前年対比113.2%
(434億8200万円)
■仕分け・ピッキング系 前年対比139.1%
(398億6300万円)
■回転棚・移動棚(電動・手動を含めた)前年対比125.3%
(193億3300万円)
ちなみに、前年対比で減少したジャンルは、
・台車系(天井走行台車や有軌道・無軌道台車システムなど)
・パレタイザー・デパレタイザー系(パレタイズする機械等)
より詳しく知りたい方は、こちらをどうぞ→
日本ロジスティクスシステム協会(JILS)
https://www1.logistics.r.jp/news/detail.html?itemid=977&dispmid=703
総評
調査レポートでは、具体的な商品やサービスについては、言及されていないものの、
物流DX全般の売上は、前年対比では増加傾向にあります。しかしながら、コロナ以前とコロナ禍の中の過去3年(19年、20年、21年)は緩やかな減少傾向にあり、物流企業や大手物流企業の物流領域への設備投資は慎重であったと推測される。コロナ禍であった22年に総売上が増加傾向にあることは明るい兆しであるが、一見すると単なる復調とも表現できるでしょう。個人的総括としては、企業による設備投資は、各企業の事業活動の好不調に大きく左右される傾向にあるので、物流DX領域の設備投資については、あまり楽観的な評価ができず、余談を許さない状況である。現段階では、企業の財務的体力のある企業が未来に対する不安や解決として、物流DXを行っている状況であり、中小企業含めて多くの物流会社ならびに自社で物流を運営する物販企業が積極的に物流DXへ投資するのは、23年度下期以降となってくると予想。逆に言うと、まだまだ本分野の成長には余地があり、依然として成長が見込まれる分野であることは間違いないと推測する。
まとめ
物流DXの分野は、従来からのシステム機器と呼ばれる分野から新しいWEBサービス分野まで、多岐にわたります。まだまだ業界標準化が整っておらず、国を始めとした業界団体からも、解像度の高い調査統計レポートの発信は難しいものの、今後も状況をウォッチしていきたいと思います。
一方で、まだまだ成長著しい、成長の余地がある分野であり、新しい機器やサービスがどんどんと生まれてくる機運もあり、物流業界の明るい未来となってくれると信じています。
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